眠りのプロショップSawada 快眠寝具研究室

体質に合わせた最適な羽毛ふとんの中身の量とは


過ぎたるは、なお及ばざるがごとし

羽毛ふとんは軽くて暖かい。ふんわりと嵩がでる。
いずれも事実です。

ところが、これが行き過ぎると、メーカーはとにかく嵩高にすることが自社の羽毛ふとんを他社に比べて有利にすることだと考えてしまいます。
一方、普通のお店の店員もこのホームページに書いてあるようなややこしい説明をするよりは「奥さん、すごくふっくらして嵩があるでしょう。良いものですよ」と説明した方が早くて手っ取り早く商談が進みます。そんなわけで出始めの頃から比べると、とんでもなく嵩高の羽毛ふとんばかりが出回るようになってしまいました。

するとどうなるでしょうか?
下図をご覧下さい


A 

B 

C

Aは4×5マスの標準的な充填をした場合の厚さです。この状態なら身体へのフィット感もまずまず得られます。

ところがBのように、嵩を出すためにより多くの羽毛を充填すると、確かにふとんの嵩は上がりますから、それぞれのマスの中央部は最も厚くなり、その結果保温性が増すはず・・・なのですが、実際にはキルティング部分の谷間が大きくなって、身体へのフィット性が損なわれてしまい、身体の周りの暖まった空気が逃げやすくなります。
さらに、詰め込まれた羽毛では空気の循環がうまくいかなくなりますから、通気性が悪くなり蒸れやすくなります。

フィット性を損ねることなく、保温性を上げるためにCのような2層構造が生まれました。充填量を上げても、凸凹が少ないのでBの持つ欠点が無くなっています。

羽毛を詰め込みすぎるな−最適な羽毛量を選ぶ


ただ、このような場合でも、多く詰めれば良いのかというとそうでもありません。特に都市部のマンションに代表されるように、高気密・高断熱の住宅が多くなった現在では、詰め込みすぎると11月も末でないと使えないということになります。これでは羽毛ふとんの持つ良さを活かしているとはいえません。
現在通常に販売されている羽毛ふとんの充填量は1.2〜1.4kgがほとんどですが、太平洋岸の都市部だと0.6〜0.8kgでも十分暖かい場合があります(それぞれの体質によります)。

このように、羽毛の充填量は入れれば良いというものではありません。

 ・キルティングの構造
 ・生地の軽さ
 ・羽毛の嵩高性
 ・使用する方の体質
 ・寝室の保温性や湿度

これらに合わせて、最適な量を選ぶことが必要になるのです。


最適な中身の量をどのように決めていくか

充填量が多すぎると、空気の循環が悪るなるので、最適な充填量を選ぶことが重要
一マスが小さければ(マスの数が多ければ)最適充填量は少なくなる

羽毛の持つ吸湿発散性は、空気の循環がどれだけできるかにかかってきます。一方で空気は最も断熱性の良い素材なので、空気を多く含むと保温性が上がります。このことからも、必要以上に羽毛を充填すると、羽毛の持つ本来の良さをスポイルしてしまうといえるでしょう。

まず、マスが小さい(マスの数が多い)羽毛は、マスの大きい側に比べると、マス中央部の膨らみがそれほど取れませんから、一マスあたりのの容積が限られますので、充填量は少なく控えめにするのがベターです。

マスの大きい側は膨らみも大きくなる一方で、容積が大きいために、中で羽毛が片寄りしやすくなる傾向があります。これを防ぐには充填量を増やさなければなりません。3×5マスや3×4マスぐらいになると、そのバランスの取り方が難しくなります。


生地が軽くなれば、最適充填量は少なくなる

同じキルティング、同じ羽毛を入れても、側の重量によって嵩の出方は変わります。側が重くなるほど、多く羽毛を充填する必要があります。

例えば、平均的な生地である超長綿60サテンは生地重量が140g/uぐらいです。この時に必要な羽毛充填量を100とすると、
超長綿80サテン 生地重量 115g/uだと 95
超長綿100ツイル 生地重量 93g/uだと 90
ぐらいの充填量で、同じだけの嵩になります。生地が重いと羽毛を圧迫するからなのです。ということは、生地が軽い方が羽毛の量が少ない=空気の量が多いために、保温や温湿度の調整が容易になるということがいえます。


嵩高性のある羽毛を使うと、最適充填量は少なくなる

これはある意味当たり前なのですが、言い換えると、増量された羽毛ふとんは質が良くないということです。
例えば嵩高15.0cmの羽毛と嵩高18.0cmの羽毛とでは、同じ重量でも嵩高18.0cmの方が20%多く嵩高になります。逆に言うと15.0cmを1.2kg入れるのと、18.0cmを1.0kg入れるのではほとんど同じということです。ですから、よくテレビ通販とかチラシなんかでも「今回は特別に増量しました」なんていうとトクしたかのように見えますが、必ずしもそうではないことがわかります。
上記と同様、嵩高のある羽毛を使うと、羽毛の重量が少ない分、空気の量が多くなるので、より良いということになります。

また、羽毛も使っているうちに汚れなどもあって、次第に嵩が減ってきますが、嵩高のある羽毛はダウンボールが大きいので、嵩減りが少なく、リフォームした後でも目減りが少ないのです。

代謝量が大きい人、部屋の気密度や断熱性が高いほど、充填量を少なくする

要は暑がりの方には薄い目に、寒がりの方には厚い目の羽毛ふとんを使うということです。あるいは、暖かい部屋なら薄い目を、寒い部屋には厚い目の羽毛をということです。
かつて木綿わたのふとんの場合は、製造直売スタイルがほとんどでしたから、お客様のご要望に合わせて中わたの量を調節できました。ところが、市販品の羽毛ふとんは中身の充填量の調節ができません。しかも、嵩高く多く入っているケースがほとんどなので、特に暑がりの方には必要以上に嵩高になってしまうことが多いのです。

眠りのプロショップSawadaのオリジナル羽毛ふとんは製造直売のスタイル。お客様の体質や寝室の環境に合わせた、最適な羽毛の量をアドバイスいたします。

目の前でお作りしますので、どのようなご要望にも素早く対応いたします。例えば、ご夫婦でお求めの場合、同じように作るのではなく、男性の羽毛ふとんの充填量を50g減らし、その分を女性の分に足すことも可能ですし、余分なコストはかかりません。




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